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ちいかわ「ハチワレ」の名前の由来は猫の柄、昔は「鉢割れ」と書いた

2026年9月18日 ・ トレンド「ハチワレ 名前 由来 ちいかわ 八割れ 鉢割れ」より
額から鼻筋にかけて白い筋が入り、黒が左右に分かれているはちわれ柄の黒白猫
画像: はちわれ柄の黒白猫(CC0 / ボゼ, via Wikimedia Commons

9月17日の夕方に投稿された1本のポストが、9万いいねを超えています。ちいかわをほぼ知らない妹さんに、あの小さくて可愛いやつがちいかわだと教えたところ、妹さんのほうから予想外の答えが返ってきた、という話です。

投稿したのは古森もぐさん(@f_mog25)。「はち切れそうで割れてるやつ?」は当然ながら外れていますが、由来をたどっていくと、この答えは思っているよりだいぶ惜しい。

「はち切れそう」は外れ、「割れてる」のほうは当たっている

ハチワレはもともと猫の柄の名前です。Wikipediaの「はちわれ」の項目では、ネコやイヌの斑(毛色)が、鼻筋を境に左右に分かれているものと定義されています。額の真ん中に白い筋が縦に入り、そこを境に毛色が左右へパカッと分かれる。漢字の「八」の字に見えるので八割れです。

ちいかわのハチワレも、顔の真ん中で水色と白がきれいに分かれています。名前の付き方としては、柄をそのまま呼び名にした形になっている。

なので妹さんの「割れてる」は、柄の話としては合っています。外れているのは「はち切れそう」のほうだけ。ハチワレの「ハチ」は、はち切れるの「はち」ではなく八の字の八です。半分は正解している。

元の表記は「鉢割れ」で、鉢は頭蓋のこと

ただ、「八割れ」は後から当てられた字です。元の形は別にあって、Weblioの日本語表現辞典はこう書いています。「ハチワレ」という呼び名は元々「鉢割れ」に由来する。「鉢」は頭蓋を意味する

つまり鉢割れ=頭蓋が割れる。柄のことを言っているだけなのに、字面だけ見ると穏やかではありません。Wikipediaも、頭や頭蓋骨、兜が割れる意味だと説明しています。同じ辞典は「鉢割れ」という言葉はいかにも縁起が悪いとも書いていて、実際そのとおりの扱いを受けていた時期があります。

小学館のデジタル大辞泉も「鉢割れ」の項目で、犬や猫の額の斑が鼻筋を境に左右に分かれているものと説明したうえで、古くは飼うのを忌むことが多かったという趣旨のことを添えています。かわいい柄の名前ではなく、避けられる言葉として辞書に載っていたわけです。

武家では忌まれ、商家では縁起がよかった

おもしろいのは、同じ柄の評価が身分によって逆さまだったところ。Wikipediaの記述はこうです。後者の意味から武家においては縁起が悪いとして忌避されていた時代・地方もあった。八は末広がりであることから、逆に商家などにおいては縁起がいいといわれる場合もある

刀を差している側からすると、頭が割れる、兜が割れるは洒落にならない。一方で商売をしている側からすると、末広がりの八がそのまま顔に入っている猫ということになる。同じ猫を見て、片方は縁起が悪いと言い、もう片方は縁起がいいと言っていたことになります。

字を変えただけで、意味がひっくり返った

その先の処理が雑でいい。Weblioの説明の続きがこれです。「鉢割れ」を忌み言葉として避け、代わりに末広がりの「八割れ」と表記することもある。今日ではカタカナ・ひらがな表記が一般的となっている

読みは「はちわれ」のまま、字だけ鉢から八に取り替える。それで頭蓋が割れる話が末広がりの話に変わり、忌み言葉が縁起物になりました。そして今はカタカナ表記が主流になって、鉢のほうの意味はほぼ忘れられている。ハチワレという文字列を見て頭蓋を思い浮かべる人は、たぶんもういません。

ちなみにこの柄、いま日本でかなり多数派です。Wikipediaが引く2015年の調査では、日本の猫の柄ランキングではちわれの黒白猫が2位に入っています。ネット上で「ハチワレ」という呼び名が広まったきっかけは、1998年ごろのはちわれ猫の写真サイト『はちわれの会』だとされている。忌み言葉だった時代からすると、だいぶ遠くまで来ました。

ちいかわのハチワレが柄から取られたかは、公式には出ていない

ここまで猫の柄の話をしてきましたが、ナガノさんやちいかわの公式サイトが「ハチワレという名前は猫の柄から取った」と説明した資料は見当たりません。見た目が八割れそのものなので誰でもそう推測しますが、作者が由来を語ったものは出ていないので、あくまで柄の名前と一致している、というところまでです。

それでも、妹さんの「割れてるやつ?」という反射はいい線をいっていた。ちいかわを1ミリも知らない状態から名前だけ聞いて、割れているという特徴を引き当てたわけで、結果的に語源の半分に手が届いています。

ハチワレの名前まわりは言い間違いの話もよく流れてきて、ハチワレを「ハコワレ」と呼んでしまう人の話や、たまごっちのまめっちをハチワレだと思って買った人の話もありました。名前を知らない人ほど大胆に踏み込んでくるので、こういうのは今後も出てきそうです。

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