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ちいかわ「ゾウ」の歌は「かあさんの歌」の替え歌、声優の正体は山根雅史

2026年9月14日 ・ トレンド「ちいかわ ゾウ 歌 声優 せっせとワンダフル かあさんの歌 替え歌 山根雅史 あくむ編 お夜食 タッパー」より

夜中に草むしり検定の勉強をしているちいかわの家に、窓の外からやたらと機嫌のいい歌が流れてくる。『ちいかわ』のなかでも屈指の怖い回として知られる「あくむ」編は、この歌から始まります。アニメで見た人が「あれ何の歌?」「誰が歌ってるの?」と検索して止まる場所がだいたい同じなので、先に両方の答えを書いておきます。歌は童謡「かあさんの歌」の替え歌で、歌っているのはゾウ役の声優、山根雅史さんです。

「象さんが夜なべをして」で始まる歌

まず歌そのものを確認しておきます。原作の該当回は、作者ナガノさんの公式アカウントが2023年2月19日に投稿したもので、歌詞が画面のあちこちに書き込まれた状態で読めます。

並び順に書き出すと、こうなります。

  • 象さんが 夜なべをして
  • お夜食つくってくれた
  • 勉強してちゃ 眠たかろうて
  • せっせと ワンダフル
  • ふるさとのタッパーは高性能
  • こんなふうにコンパクト

2行目の「夜食」には矢印つきで「やしょ〜く」とふりがなが振ってあって、伸ばして歌われていることまで書き込まれています。ちいかわの反応が「こ…?」から「エッ」、そして「エ〜〜?」へと段階的に引いていくのが読んでいて笑えるところです。歌の内容自体は「夜遅くまで勉強してる子に夜食を作ってきた」という、字面だけ見ればやさしい話でしかありません。にもかかわらず不穏なのは、この歌が夜中に家の外から一方的に聞こえてくるという一点に尽きます。

元ネタは1956年の童謡「かあさんの歌」

この替え歌の下敷きになっているのは、「かあさんの歌」です。作詞作曲は窪田聡さんで、1956年2月、窪田さんが20歳のときに『うたごえ新聞』で発表されました。その後うたごえ運動に乗って広まり、ダークダックスやペギー葉山の歌唱でヒット。NHK「みんなのうた」でも1962年に流れています。2007年には文化庁と日本PTA全国協議会の「日本の歌百選」にも選ばれました。

歌い出しは「かあさんが 夜なべをして 手袋あんでくれた」。夜なべで編み物をする母親の歌です。ゾウの替え歌はここを「象さんが 夜なべをして お夜食つくってくれた」に差し替えている、というだけの構造になっています。

世代によっては、この童謡そのものを知らない人も多いはずです。実際、アニメを見て「歌詞のクセが強い」と感じた人の多くは元の歌を知らないまま聞いていて、それはそれで正しい怖がり方になっています。

歌詞は1行ずつ律儀に置き換わっている

面白いのは、思いつきで言葉を変えているわけではなく、6行が6行ともきれいに対応している点です。「かあさんの歌」1番(作詞・作曲 窪田聡)の各行が何を歌っているかと、ゾウの歌の対応行を並べるとこうなります。

「かあさんの歌」1番の各行ゾウの歌
1行目「かあさんが 夜なべをして」象さんが 夜なべをして
2行目 母が手袋を編んでくれたお夜食つくってくれた
3行目 木枯らしの寒さを気づかう「〜かろうて」勉強してちゃ 眠たかろうて
4行目「せっせとあんだだよ」せっせと ワンダフル
5行目 ふるさとから便りが届くふるさとのタッパーは高性能
6行目 いろりのにおいの余韻で終わるこんなふうにコンパクト

問題の「せっせとワンダフル」は4行目です。元の歌では「せっせとあんだだよ」、つまり母が黙々と手袋を編んでいた、という一番しみじみする行にあたります。そこに脈絡のない英単語がひとつ落ちてくるので、意味を追っている側の頭が一瞬止まる。パワーワード扱いされているのは、たまたま語感が変だからではなく、置き換わった場所がいちばん効く行だったからです。

3行目も芸が細かくて、寒さを気づかう「〜かろうて」という言い回しだけをそのまま残し、心配する中身を眠気にすり替えています。5行目と6行目はもっと露骨で、ふるさとからの便りが「ふるさとのタッパーは高性能」になり、いろりのにおいの余韻で終わるはずの締めが「こんなふうにコンパクト」になります。歌の後半がまるごとタッパーの宣伝に乗っ取られていて、実際この場面のちいかわも、フタが重なって小さくなるタッパーの絵を見せられて「エ〜〜?」と固まっています。夜食の話をしていたはずの歌が、いつの間にか収納の話にすり替わっている。この気持ち悪さの正体が、替え歌の構造を見るとはっきりします。

歌っているのはゾウ役の山根雅史

アニメで歌声を担当したのは、中日スポーツの記事によると、作中の「ゾウ」を演じる声優の山根雅史さんです。鳥取県出身で、日本ナレーション演技研究所を経て2017年からアイムエンタープライズに所属。『ゴールデンカムイ』『Re:ゼロから始める異世界生活』『無職転生』などに出演してきた人です。

本人もX上で「せっせとワンダフルに告知させていただきます!」「それでは聴いてください、『ゾウさんの歌』」と、歌詞をそのまま使って出演を知らせていました。

ちなみにアニメ公式サイトのキャスト欄を見ても、ゾウの名前は載っていません。ちいかわ、ハチワレ、うさぎといったレギュラー陣と違い、あくむ編のあいだだけ出てくるゲスト扱いだからです。だから「公式で調べても声優が出てこない」という詰まり方をする人が出る。放送回の情報を追わないと出てこないところにいます。

「あっぷっぷ」が「あくむ」になるところまでが替え歌

歌に釣られて外に出たちいかわは、お夜食の屋台にたどり着き、そこでゾウと出会います。この先の展開でもゾウは歌を使ってきます。

屋台で揚げ物をふるまわれ、それを食べたあと、ゾウが歌い出すのは「だーるまさん だーるまさん にーらめっこしーましょ わーらうと まっけよ」。誰でも知っているにらめっこのわらべうたです。ただし最後の1語だけが違っていて、「あっぷっぷ」が来るはずの位置で「あ、く、む!!」と言い放ちます。エピソードのタイトルがなぜ「あくむ」なのか、ここで回収される仕掛けです。

つまりこのゾウは、誰もが子どものころに聞いた歌を持ち出して、最後の一語だけをずらしてくる存在として描かれています。知っているはずのメロディに乗って近づいてきて、着地点だけが違う。1話目の歌が「かあさんの歌」なのも、単に有名な童謡を選んだというより、この設計の一手目だったと読めます。

伊藤アナも「歌詞がどうも気になる」と首をひねった

放送当日の『めざましテレビ』では、伊藤利尋アナウンサーが「頑張ってるからちょっとお夜食食べてもいいですよ」とちいかわに共感したうえで、「ただ『せっせとワンダフル』の歌詞がどうも気になる。せっせとワンダフル…?」と首をひねっていました。この先の展開を知らないまま、歌詞の違和感だけを的確に拾っている形です。

Xでは「アニメちいかわ」がトレンド入りし、「悪夢編キター!!1番好きなシリーズ!」「歌詞のクセが強いー」「皆のトラウマあくむ編」「神回きたね」「ナガノ先生の奇才っぷりがわかる」といった声が並びました。原作を読んでいる側からの「伊藤アナはまだ何も知らない…」というコメントもあって、朝の情報番組でこれから何が起きるかを知っている人と知らない人が同じ画面を見ている構図になっていました。

第349話の見逃し配信はYouTube・TVer・FODで1週間限定だったため、2026年6月12日で終了しています。いま歌詞を確かめたいなら、上に貼った原作の投稿を読むのが早いです。

ちいかわの歌まわりは、映画の「屋台の歌」に縦読みが仕込まれていた件や、ちいかわの体操の曲の正体がスーパーの「呼び込み君」だった件のように、あとから元をたどると納得するタイプの話が多い。今回も、元の童謡を1行ずつ並べてみると急に腑に落ちます。腑に落ちた瞬間にもう一段怖くなるのが、この作品のいつものやり方です。

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