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映画ちいかわの合唱曲の正体はエヴァ破と同じ「今日の日はさようなら」

2026年9月15日 ・ トレンド「映画ちいかわ 今日の日はさようなら 挿入歌 歌詞 エヴァ 合唱 ハチワレ 人魚の島のひみつ サントラ 森山良子」より

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の終盤、島のみんなが声を合わせて歌い出す場面があります。ただ、肝心の曲名が分からないまま映画館を出た人もいるようで、「今日の日はさようなら」で検索すると候補に「ちいかわ」と「エヴァ」が並びます。

先に答えを書くと、あの合唱はちいかわのために書き下ろされた新曲ではありません。1966年に生まれて、教科書と卒業式とNHKを通り抜けて、途中でエヴァにも寄り道してきた曲です。

島で歌われるのは、ちいかわの新曲ではなく1966年の曲

Wikipediaの記述によると、「今日の日はさようなら」は1966年にハーモニィサークル(現在の公益財団法人ハーモニィセンター)の金子詔一さんが作詞・作曲した曲です。金子さんは大学生のときに警視庁少年課の職員らとこのボランティアグループを作り、調布市立つつじケ丘児童館で活動していました。若者たちの友情を深める目的で書かれ、団体のオリジナルソングとして歌われるようになったのが始まりだそうです。

一般に広まったのは翌1967年。森山良子さんの歌で、シングル『恋はみずいろ』のB面として日本ビクターから出ました。B面です。そこからヒットして知られるようになったものの、もともと森山さんのために書き下ろされた曲ではありませんでした。

教科書、みんなのうた、卒業式、そして駅のホーム

この曲がやたらと「知っている気がする」のは、学校経由で刷り込まれているからです。1973年に高校1年生の音楽の教科書に載り、翌1974年2月からはNHK『みんなのうた』でも放送されました。ボーイスカウトやガールスカウトで歌うスカウトソングにもなり、卒業ソングとしても定着しています。2007年には文化庁と日本PTA全国協議会が選んだ「日本の歌百選」の101曲にも入りました。

面白いのが駅メロです。2018年8月25日の始発から、京王電鉄と調布市が京王線柴崎駅の列車接近メロディに採用しました。使用開始日は森山さんのレコードの発売日に合わせたものです。柴崎は、金子さんと一緒にハーモニィサークルを立ち上げた警視庁少年課の大野重男さんが住んでいた街で、サークルの活動範囲でもありました。同じ年の11月8日には、発祥の地である西つつじケ丘のつつじケ丘児童館に木製の歌碑も建っています。曲が生まれた場所に、半世紀かけて曲が帰ってきた形です。

1番だけ歌詞が違うのは、歌う側の一言がきっかけ

歌ったことがある人なら、1番の終わりだけ「明日の日を夢見て」になっているのを覚えているはずです。2番と3番は「今日の日はさようなら」で終わるのに、1番だけ違う。

金子さんによれば、オリジナルの歌詞は1番から3番まで全部「今日の日はさようなら」で揃っていました。変えたいと持ちかけたのは、ザ・フロッギーズの小山光弘さんです。金子さん本人の手記に、そのときのやりとりが書き残されています。

小山さんは「みんなで考えたんだけど……」と神妙な顔で訪ねてきて、1番を「明日の日を夢見て、希望の道をー」に変えていいかと聞いてきたそうです。作者の反応は乗り気ではありませんでした。「夢見てなんて、女学生みたいで柔じゃない?」「それに一番だけ他と違うってのも、なんだかヘンじゃない……?」と返しています。

それでも最後は「でも、まいっか!」で通してしまったと本人が書いています。全国の卒業式で半世紀以上歌われ続けているのは、この「まいっか!」で決まった側の歌詞というわけです。

エヴァ破で林原めぐみが歌ったのも、この曲

同じくWikipediaの「挿入歌」の節には、この曲が使われてきた作品がずらっと並んでいます。『珠子 十歳の鎮魂歌』(1983年)、『クレヨンしんちゃん』で矢島晶子さん(1994年)、『Dear Friends』(2007年・東映)、そして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で林原めぐみさん(2009年)。『さくら荘のペットな彼女』(2012年)でも使われています。その一覧の最後に、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』(2026年)が加わりました。

検索候補に「エヴァ」が出てくるのはここが理由です。2009年の破で聴いた人と、2026年の映画館で聴いた人は、同じ1966年の曲を聴かされていたことになります。ついでに言うと2025年のアルバム『EVANGELION FLASHBACK』では高橋洋子さんも歌っていて、エヴァ側でも二度めの登板になっています。

サントラには「ハチワレver.」と「合唱ver.」が別々に入っている

7月24日に出た『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』オリジナル・サウンドトラックは全52曲。タワーレコードの商品情報に載っている収録曲を見ると、この曲は2回登場します。

11曲目が「今日の日はさようなら(ハチワレver.)」で、歌唱はハチワレ(CV.田中誠人)。48曲目が「今日の日はさようなら(合唱ver.)」で、こちらはハチワレ(CV.田中誠人)、シーサー(CV.島袋美由利)、島二郎(CV.最上嗣生)、そして島民。1曲を2つのトラックに分けて入れているあたりに、劇中での扱いの重さが出ています。

なお、エンドロールで流れる曲はこれとは別で、作詞ナガノさん・作曲トクマルシューゴさん・歌は青木遥さんの「机さする」。屋台の場面で流れる「島のうた」の縦読みも含めて、この映画は歌まわりに仕掛けが多すぎます。映画そのものも、7月24日の公開から30日間で興行収入100億円を突破しました。

小学校の卒業式で歌わされたときは特に何も思わなかった曲が、60年後にちいかわの島で鳴って効いてくる。次に聴く機会があったら、これが1966年に調布の児童館で生まれた曲だと思い出してみてください。

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