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「ハムスターダンス」とは?元ネタ・曲名(ハムスターダンスソング)を解説

ハムスターダンス(Hampster Dance)(はむすたーだんす) ・ 2026年8月24日 公開

ハムスターのドット絵が画面いっぱいにタイル状に並び、早回しのピロピロした曲に合わせて延々と踊り続ける。ページを開くと、起きることはそれだけ。1990年代の終わりにインターネットを飲み込んだ最古級のネットミームが 「ハムスターダンス(Hampster Dance)」 です。

「ハムスターダンス」とは?

ハムスターダンスは、同じハムスターのアニメGIFを何十個も並べ、早回しの曲をひたすらループさせるだけの1ページのサイトと、そこから生まれた曲のことです。ミームのデータベース Know Your Meme は「最初期の single-serving site(ひとつのネタだけで成り立つサイト)のひとつ」と位置づけています。

SNSはもちろん動画サイトも無い時代なので、拡散の手段はメールでした。友達に「これ見て」とURLを送る。返ってきた相手がまた別の相手に送る。その連鎖だけで世界中に広がったので、SNS以前のインターネットがどう動いていたかの標本にもなっています。

元ネタ・由来(GeoCitiesの個人ページから)

作ったのは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州ナナイモの美術学生 Deidre LaCarte さん。姉妹の Melanie さん、親友の Hazel Steenman さんと「誰のページが一番アクセスを集められるか」を競っていたのが動機で、無料ホームページサービスの GeoCities に置いたのが始まりです。公開時期は1997年8月とも1998年8月とも記録されていて、資料によって1年ずれています。

サイト名は飼っていたハムスター「Hampton Hampster」にちなんだ “Hampton Hampster’s Hamster House”。英語の正しい綴りは hamster ですが、ペットの名前もサイト名も “hampster” になっているのは本人いわく意図的なものだそうです。ただし本人はこの綴りのドメインを押さえておらず、hampsterdance.com は無関係の業者に取られた時期がありました。権利がまとまった今は hampsterdance.com が公式サイトとして生きていて、当時のページも残っています。

中身は4種類のアニメGIFを392個ぶん並べただけ。そこに、当時としては珍しかったHTMLへのBGM埋め込みが仕込まれていて、9秒のWAVがループします。この曲の正体が、Roger Miller の「Whistle-Stop」を早回ししたものでした。ディズニーの1973年のアニメ映画『ロビン・フッド』のオープニング曲です。原曲はのんびりした口笛のカントリーなので、速度を上げただけであの中毒性が出ているのが面白いところです。

1999年、アクセスが800件から1,700万に跳ねた

開設から最初の7か月の累計アクセスは、およそ800件。1日あたり4件です。ところが1999年の2月から3月にかけてメールと初期のブログ経由で火が付き、4日間で約6万ヒット、その3か月後には1,700万ビューを突破しました(1999年8月のウェブジン GettingIt のインタビューより)。

飛び火した先が音楽チャートでした。1999年4月、英エレクトロ集団 the Cuban Boys が同じサンプルを使った「Cognoscenti vs. Intelligentsia」を BBC Radio 1 の John Peel の番組でオンエアすると、Sex Pistols の「God Save the Queen」以来という番組最多リクエスト曲になります(当時のウェブジン GettingIt の記事)。シングルの発売日は12月13日。その直前の12月9日には英ガーディアンが「うるさいハムスターの一団がクリフからクリスマス1位を奪おうとしている」と書くところまで行きます。当時サイトは1日25万人が訪問していると見られていて、ブックメーカー William Hill はクリスマス1位のオッズを100倍から10倍へ一気に下げました。狙われた側は3週連続1位だった Cliff Richard の「Millennium Prayer」(13-8)です。結果はクリスマス1位を Westlife にさらわれ、Cuban Boys は12月25日付の全英シングルチャート4位。ただし John Peel のリスナー投票 Festive Fifty では1999年の1位を取っています。

勢いはそのまま実生活側にも出ていて、2000年1月にはプロバイダ EarthLink のテレビCMに起用され、同年4月時点でもサイトには1日20万人が訪れていました。

「ハムスターダンスソング」とは(CDになった経緯)

曲名で探されることが多い「ハムスターダンスソング」は、2000年6月13日に Hampton the Hampster 名義で Koch Entertainment から発売されたシングル「The Hampsterdance Song」を指します。仕掛けたのは Jeffery Lane、プロデュースはカナダのリミックスデュオ Boomtang Boys。

ここで引っかかったのがディズニーとのライセンスでした。そのためサンプルをそのまま使わず、Rob DeBoer と Tony Grace が音を録り直したうえで、新しく歌詞を付けています。つまり、元サイトで鳴っていたWAVとCD音源は厳密には別物です。ミュージックビデオには Hampton・Hado・Dixie・Fuzzy の4匹が出てきます。

シングルはカナダの Canadian Singles Chart で1位(RPM 100 Hit Tracks では32位)、オーストラリアのARIAで5位(2001年3月)、米Billboard の Maxi-Singles Sales で4位まで上がりました。その後 LaCarte さんは権利を Abatis へ売却し(2001年末とも2002年とも記録されています)、2005年にはCNETが「ナンバーワンWeb fad」に選んでいます。

使い方・例文

日本では、ニコニコ動画の「ハムスターダンス」タグに40本弱の動画が付いています。最多再生は2012年投稿のハプニング集で26.9万再生。曲そのものを語る文脈より、コミカルなBGMとして使われる形で残っている印象です。

  • 「ハムスターダンスの曲、名前は知らないけど絶対どこかで聞いてる」
  • 「元ネタがディズニーの『ロビン・フッド』って今知った」
  • 「回線が遅かった時代の音がする」

ネットミームの知識でタイムアタックする「ミームかるた」では、全10問を40秒以内でクリアすると「インターネット老人」の称号が付きます。ハムスターダンスをリアルタイムで踏んでいた世代は、だいたいそこの住人です。

関連する言葉

ネット発のキャラクター曲が実際にチャートを駆け上がった例としては、着メロで世界を取ったクレイジーフロッグが一番近い型です。ループする曲と動物の絵という組み合わせはNyan CatKeyboard Catに受け継がれましたし、ループ曲がネットで延々と踊られた系譜という意味ではロイツマも同じ流れにいます。URLを踏ませて曲を流す悪ふざけの先祖と考えればリックロールの親戚でもあります。同じハムスターでも、Sad Hamsterのほうは25年後のTikTok発。20年以上あいだが空いても、結局みんなハムスターを踊らせています。

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